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「祖母が伝えてくれたこと」 |
済美平成中等教育学校 四年 菊池 由莉恵 |
「どなたか、一緒に花を育てませんか」立て札に書かれたこの言葉をきっかけに、ゴミ捨て場にされていた空き地が、花畑へと生まれ変わった。
家の近所にある公園の駐車場は、かつて廃車やゴミが置き去りにされる場所だった。私の住む松山市は、その度に廃車やゴミを撤去した。また近隣の住民も頻繁に草引きや清掃を行い、市に依頼してゴミ捨て禁止の立派な看板や、犬の糞を拾うゴミ袋まで設置した。しかし、ゴミや犬の糞は一向に減らず、ゴミを捨てる人と住民たちの間で、何年もいたちごっこが続いてきた。
そんなある日、私の祖母がその場所を耕し、肥料を入れ、そしてかまぼこ板で立て札を作った。「どなたか一緒に花を育てませんか」一人の婦人がそれに応え、二人の老婦人は家から持ち寄った花をそこで育て、少しずつ花壇が出来上がっていった。
するとどうだろう。ゴミは全く捨てられず、犬の糞も見られなくなった。住民と行政が五年間かけて出来なかったことを、老婦人二人がたった一ヶ月でやり遂げたのだ。
今そこにはたくさんの花が咲き乱れ、通りかかる人の目を楽しませている。その後、市は長いホース付きの水道をひいてくれ、チューリップの球根をたくさん提供してくれた。
私は、祖母の行ったことは素晴らしいと思う。ただ、その前に住民の根気よい清掃作業や、行政による廃車の撤去作業がなかったならば、おそらく祖母はここに花を植えようとは思わなかっただろう。
自分の街を美しく保ちたい、住民がその気持ちを行動に表せば、周囲の人もそれに共感し、このように活動の輪が広がっていく。こうして、私たちの中に自分の街への愛着が湧き、本当の意味で街と仲良くなっていけるのではないだろうか。 |
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特別珍しい話ではなく、インパクトも弱くてエッセイとしては物足りない点もありますが、具体的に書かれていて状況が目に浮かぶところを評価しました。そして、ゴミを捨てないような取り組みではなく、「花を育てる」ことで町をキレイにした発想の転換に興味を持ちました。しかし、作者の祖母が「なぜ花を育てよう」と思ったのかが書かれていない点が残念です。そこがしっかり書かれていれば、気持ちが伝わってきて、さらに良くなると思います。 |
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