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私には自慢のおばあちゃんがいる。人を笑わせるのが上手でとても面白いし、三輪車でどこへでも行く七十四歳とは思えない程、元気なおばあちゃんだ。九州の方言か何かで、おばあちゃんの事を「ばっぱ」と呼ぶらしく、みんな不思議がるけど、私は小さい頃からそう呼んで育ってきた。
ばっぱは私によく自慢話をする。「じいちゃんが死んでから、もう二人のおじいさんからプロポーズされたのよ。」とか「この前、老人会の人から食事に誘われちゃってねぇ。」とか。どうやら、ばっぱはモテるらしい。「でもやっぱり、じいちゃんが一番だからプロポーズもお断りしたの。生まれ変わってもまた、じいちゃんと結婚したいわ。」と最終的には死んだじいちゃんに一途なのだ。よっぽど、じいちゃんの事を愛しているんだなって思う。
じいちゃんとの出会い話も、何十回と聞いた。「じいちゃんとは幼馴染みでね、ばっぱの事が好きで好きで、どこへ行くにも付いて来よったの。はじめはうっとうしくて嫌いだったんだけど、だんだん惹かれていって、学生結婚したのよ。」と幸せそうな顔をして私に話す。夢みたいな話だなぁと思いながら私は聞いているけど、そんな恋愛してみたいなとうらやましく思ったりする。じいちゃんに一途なばっぱが、何だかとても可愛らしく見える。
そんなばっぱは、人に何かしてあげるのが好きらしく、人にやたら物をあげたり、月に一度、五百人近くのホームレスの人にごはんを作ってあげる行事にも、必ず参加している。年金生活でそんなにお金も無いのに、自分より、人に何かしてあげるばっぱは、本当に優しいと思うし、誇りに思う。
私は、元気で優しく毎日楽しそうに生きているばっぱが大好きだし、将来ばっぱみたいなおばあちゃんになりたい。 |
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作者のおばあちゃんに対する愛情が感じられるエッセイです。「じいちゃんが死んでから、もう二人のおじいさんからプロポーズされたのよ。」をはじめ、ばっぱから聞き出したエピソードが面白く紹介されていて、読んでいて楽しくなります。高齢社会を取り上げると暗い話になりがちな中、この明るさは救いになります。年を取るのもいいものだなと希望を持たせる内容を素直に書いている点を高く評価しました。 |
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