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「本当の幸せは…」 |
恵泉女学園高等学校 一年 高橋 あずさ |
今日、またテレビで二十歳に満たない子供が親を殺したというニュースが流れた。ニュース番組のほんの一部のスポーツコーナーしか意識して見なかった私も、最近こういうニュースには釘づけになるようになっていた。同情という言葉がふさわしいとは思わないし、どんな理由であっても犯罪は許せない事だと思う。でもなぜだか無性に助けたくなる…。と同時に自分と同年代の人が犯罪者となるという事が、こんなにも辛い事だとは思わなかった。顔も声も何にも知らない、ただ同年代というだけ。なのにどうして辛くなったり、助けたくなるんだろう…。
私の場合、それは自分と似ているからだった。色んな事を求められ追いこまれ、自分の居場所が見えなくなって、何もかも壊したくなる…。そんな気持ちを感じる人は多いだろう。私も感じた複雑な気持ちは、罪を犯してしまった子と、すごく似ていた。唯一違った事は、誰かが手を差し伸べてくれたかどうかだった。私は背中をバシッとたたいてくれる友達がいたし、心を開けた先生がいた。もしそんな友達、先生がいなかったら、私も誰かを傷つけていたかもしれない。だから逆に思う。あの人の周りにも、こういう人がいたら…と。
今の日本の社会には子供を守る力がない。大人は忙しく働きまわり、子供は子供じゃなくなっているように見える。そんな今の社会に私は疑問を持つ。それで本当に幸せなのかと。
だから私は今、大人に感じてもらいたい。今を生きる子供である私たちを。そして子供にとっての幸せが何であるかを。子供が求めるものは高価なものじゃない。ただ頑張った時には頭をなでて、悩んだ時には一緒に悩んで、自分という存在をそのまま受けとめて欲しいだけ。簡単すぎて忘れがちな事こそ今、子供が求めている。
だから早く気づいて。子供が誰かを、自分を傷つける事を考えない、そんな社会に、そんな将来になるように…。 |
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第四分野のテーマにふさわしい作品です。「子どもたちから大人がこう見られているんだ」という現実を突きつけており、私たち大人が作者の言葉をきちんと受け止めなければいけないという気持ちになりました。そんな問題提起の姿勢を評価して、審査員特別賞に選びました。
自分も同じような立場だったことがあり、先生や友人がいなければ「私も誰かを傷つけていたかもしれない」と素直に書いていることにも好感を持ちました。 |
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