単位数 | 学年配当 | 開講形態 | 教員名 |
4 | 3 | 後期 | 大 木 一 訓 |
本講義は、 職業生活のあり方にかかわる諸問題、 いわゆる労働問題を広く国際的な視角からとらえて解明しようとするものである。 具体的には、 就職や雇用の問題、 労働内容や熟練の問題、 労働時間や賃金など労働条件の問題、 配転・出向や転職の問題、 退職や退職後の年金生活に関する問題、 さらには労働者保護や安全衛生問題や労使関係に関する問題、 等々、 これから就職して職業生活をはじめようとする学生諸君には、 ぜひ知っておいてもらいたい諸問題を、 経済理論や社会政策論の成果を活用しつつ体系的に考えてみようとするものである。 学生諸君が就職にかかわって今日直面している諸問題は、 かつてなくきびしい。 求人が少なく、 希望する就職口がなかなか見つからない。 就職できても、 しばしば仕事は毎日のように残業があって友達づきあいもままならないうえに、 初任給は低く、 学生時代よりも生活は苦しくなってしまう。 そのうえ、 仕事の研修、 上司や先輩との付き合い、 成績査定、 各種の報告書作成、 等々、 気を遣わなければならない問題も多い。 ひどい場合には、 入社早々からリストラの影響まで被ってしまう。 どうしたらこうした状況を改善できるだろうか。 こういう環境のなかでも、 たくましく、 希望を持って仕事や人生を切り開いていくにはどうしたらよいのか。 職業生活を、 自分の意志や感情を押し殺し、 企業の要求に自分を合わせていくだけの人生にしないためには、 なにが必要なのか。 こうした学生諸君にとって切実な諸問題を明らかにしていくうえでも、 現在の労働問題についての、 リアルで、 広く深い視角からの解明が不可欠なのである。 労働問題はいま、 国際化、 情報化のもとでドラスティックな変貌をみせつつある。 つい最近まで称賛されていた日本の雇用慣行や労使関係も、 いまではより 「効率的」 な制度にとって代わられねばならないとされ、 戦後の労働法制も抜本的な改革・再編に直面している。 また、 経済活動の中心的な役割を多国籍企業が担うようになり、 国境を越えた経済活動が日常化するようになった今日の世界では、 もはや労働問題を一国の範囲内で扱うことは困難であり無意味である。 そのうえ、 今日の労働問題は経済危機のなかの労働問題であり、 関係者の利害の対立が鋭く表面化せざるをえない状況も生まれている。 本講義では、 こうしたドラスティックな変化のなかにある現代労働問題を、 できるだけ学生諸君の問題関心に即して考えていくことにしたいと思う。 その場合、 われわれの中心的な関心事はあくまで日本の労働問題ではあるが、 それを国際的なパースペクティブのもとで分析すること、 また日本の問題との関連で、 アジア、 アメリカ、 ヨーロッパの労働問題についても取り上げ、 グローバリゼーションの時代における労働問題の本質的特徴をえぐり出すことに努めたいと思う。 |
本年度は、 まず労働問題をとりまく内外経済環境の大きな変化をおさえたうえで、 雇用、 賃金、 労使関係の諸問題を中心に、 日本と諸外国との比較研究をおりこみつつ、 講義をすすめたいと思う。 |
講義は、 教員と学生の共同作業としてつくりあげられるものである。 学生諸君は自分の疑問や意見・感想を、 講義の途中でもよいから積極的に発言してほしい。 また、 講義の内容や方法について希望があれば、 遠慮なく要望を出してほしい。 ともあれ、 学生諸君の講義への積極的参画を期待したい。 |
本講義では、 平常点 (講義のコメント提出と小テスト・レポートの評価) が重視される。 |
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