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「車内放送から思うこと」 |
石川県立金沢桜丘高等学校 三年 浅下 慶子 |
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「心臓医療器具をお使いのお客様のご迷惑になりますので、車内での携帯電話の使用はご遠慮下さい」
バスや、電車の中で、よくこの言葉を耳にする。
しかし、実際に携帯電話の電源を切っている人はどれくらいいるだろうか。今日の若者は常識がないと言われるように、多くの高校生はバスの中でも化粧をしたり、お菓子やジュースをなんのためらいも無く飲食する。そんな彼らにとって、車内での携帯電話の使用は普通の事であり、なんの罪悪感もないだろう。自分には何の害もないのだから。私もそう考えていた。
私の祖母の心臓には、ペースメーカーいわゆる心臓医療器具が埋め込まれている。といっても、祖母の普段の生活は他の人となんの変わりもない。八十歳という年齢にしてはお洒落で、流行にも敏感な祖母はよく外出したり旅行に行っている。しかし出かける際、バスには乗らず、タクシーを利用する。バスの内で使われている携帯電話の電波が祖母の大敵だからである。
かつて家族で温泉へ行った事がある。その時に私の心に強く残った事がある。温泉でふっと見た祖母の左胸、白く透き通るような肌から浮かび上がった堅い存在、それがペースメーカーであった。怖い…私の心は一瞬恐怖で一杯になった。祖母はこの機械によって生かされている。
そう自覚した日から、携帯電話を使っているバスの中に祖母が居たら、どうなってしまうのだろうと考え込むようになった。自分が携帯を使うことで、誰にも迷惑はかけていないと思っている人は多いだろう。しかし、その行為によって苦しむ人や、命にかかわってくる人がいるという事を忘れないでほしい。だから、毎日のバスのアナウンスが言っている「車内での携帯電話のご使用は……」、これをお決まりの文句にしてほしくないのだ。 |
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高校生にとって日常的な「車内での携帯電話」利用に着目し、その使用法に配慮しなければいけないことをもう一度考えさせてくれた点を評価しました。ただ残念ながら、視点も結論も一般論を抜け切れていない平凡な内容になっています。せっかく身近にペースメーカーを埋め込んだおばあちゃんがいるのですから、もっと自分の考えや、今後どう行動していくかを全面に出して書くとよかったと思います。そうすればもっと読み手の共感を得られるはずです。 |
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